潰瘍性大腸炎|川越駅前ゆい消化器内科・内視鏡クリニック|川越市の胃カメラ・大腸カメラ・肛門診療

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潰瘍性大腸炎

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潰瘍性大腸炎とは

腹痛でお腹を両手でおさえている男性

潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜にびらんや潰瘍ができる大腸の炎症性腸疾患です。この炎症は主に大腸の直腸から始まり、連続的、そして上行性に広がっていく特徴があります。炎症の原因は完全には解明されていませんが、遺伝的な要因や免疫系の異常、食生活などの環境要因などが複雑に絡み合って発症すると考えられています。最近では腸内フローラの研究が進み、潰瘍性大腸炎では腸内細菌の種類や量が健常人とは異なると報告されています。子供から高齢者までの全年齢層で発症し、20~35歳くらいに発症のピークがあります。男女差はありません。このように原因不明の慢性の疾患のため、日本では「指定難病」に定められ医療費助成の対象となっています。H25年度末時点で患者数は約16万6060人で人口10万人当たり約100人程度の割合で発症します。

潰瘍性大腸炎は病変の広がりや状態によって下記のように分類されます。

  1. 病変の広がりにより直腸のみの「直腸炎型」、直腸~下行結腸までの「左側大腸炎型」、横行結腸より口側に広がる「全大腸炎型」に分類されます。
  2. 病期により「活動期(症状が悪い時期)」と「寛解期(症状がおちついている時期)」に分類されます。
  3. 重症度により「軽症」「中等症」「重症」「劇症」に分類されます。
  4. 臨床経過により「再燃寛解型」「慢性持続型」「急性劇症型」「初回発作型」に分類されます。

潰瘍性大腸炎の症状

特徴的な症状として以下の3つがあります。

  • 下痢
  • 粘血便
  • 腹痛(便がでないのに頻回に便意を催すしぶり腹をきたす)

重症になると下痢回数は増え、血性下痢、持続した腹痛をきたします。さらに以下のような全身症状が起こります。

  • 発熱
  • 貧血、頻脈
  • 体重減少

その他にも腸管内の癌や中毒性巨大結腸症、感染症の合併や、皮膚・関節・目等の腸管外に合併症を生じることもあります。

潰瘍性大腸炎の検査方法

1日の排便回数や便の性状(軟便、泥状便、水様便)、粘血便・腹痛の有無等の症状の問診や腹部診察に加えて下記のような検査を行います。

血液検査

血液検査では炎症の程度(白血球数、血沈、CRP)、貧血(Hb)、栄養状態(TP、Alb)、薬剤の副作用の有無などのチェックを行い、体の状態の把握や重症度の判定のため定期的に実施します。

便検査

炎症によるわずかな出血があるかを確認する便潜血検査、細菌の感染が疑われる場合の便培養検査などを行うことがあります。最近では腸管粘膜の炎症を評価するため便中カルプロテクチンの測定が用いられています。

大腸内視鏡検査

潰瘍性大腸炎の確定診断を行うために必要な検査です。大腸の粘膜を直接観察し、炎症の範囲や程度を観察します。生検で組織を病理検査に提出し、似ている病気との鑑別を行います。また、確定診断がついた後も、症状が悪化して新たな治療法を検討する場合や、逆に症状がおちついて治療を緩和する場合に大腸内視鏡検査が行われます。また、長期経過例では大腸がんの発生リスクが高まるため、無症状でも定期的な大腸内視鏡検査が推奨されます。

潰瘍性大腸炎の治療方法

潰瘍性大腸炎の治療では「寛解期」の維持を目指します。炎症が落ち着いている状態をできるだけ長く保つことで、手術の回避や合併症や大腸がんのリスクを軽減することができます。

内科的治療

5-アミノサリチル酸薬(5-ASA)製薬 軽症~中等症に有効。炎症を抑えることで腹痛、下痢、血便の症状を改善する。再発予防にも効果がある。
副腎皮質ステロイド薬 中等症~重症に使用される。炎症を抑える効果は高いが再燃防止効果はない。
血球成分除去療法 ステロイド薬が無効な活動期に使用される。
免疫調整または抑制薬 ステロイド薬を中止すると悪化する場合やステロイド薬が無効な場合に使用される
抗TNFα受容体拮抗薬 有効性が高く、安定した状態を維持することができる点滴または皮下注射薬。

外科的治療

内科的治療が無効な場合(特に重症例)、出血や穿孔例、大腸がんがある場合に選択され大腸全摘を行います。