ピロリ菌
ピロリ菌
ピロリ菌感染症とはヘリコバクター・ピロリ菌(Helicobacter pylori)によって引き起こされる感染症です。
胃粘膜からは、食物を分解するために胃酸が分泌されていますが、ピロリ菌はこの強い酸性の中でもアルカリ性のアンモニアを作ることで中和し生き残ることができます。このようにピロリ菌が胃の粘膜に住みつくと、長年にわたって炎症を起こし、萎縮性胃炎、胃・十二指腸潰瘍、胃がん、胃MALTリンパ腫、胃過形成性ポリープなど様々な胃の病気を引き起こします。
乳幼児期にピロリ菌に感染した場合、痛覚のない胃粘膜は自覚症状が現れないまま持続感染を起こし胃粘膜に炎症をおこします。下記の様な症状がピロリ菌の症状と考えられますが、実際は症状のない方も多いです。
ピロリ菌が感染すると胃粘膜局所に免疫反応が起き抗体が産生されます。この血液中の抗体の量を測定することで、感染の有無や感染の程度を判断します。
ピロリ菌が体内で尿素を分解する性質を利用した検査方法です。尿素を含む特別な液体を飲んだ後、呼気中の二酸化炭素の量を測定することで、ピロリ菌の感染を確認します。除菌判定に優れた検査方法です。
ピロリ菌感染症に対しては、除菌による胃粘膜の炎症所見の改善や萎縮の進行の抑制、胃がんの抑制効果が報告されており、除菌治療が強く推奨されています。
標準的な治療は胃酸を抑えるプロトンポンプ阻害薬(PPI)、アモキシシリン、クラリスロマイシンまたはメトロニダゾールの3種類の薬剤を7日間投与する三剤併用療法が用いられます。
クラリスロマイシンは小児科、呼吸器科、耳鼻科などで広く処方されており耐性菌の頻度が上がっていています。それとともに除菌率の低下が指摘されており、適切な薬剤の選択がポイントとなります。
1回目の除菌(1次除菌)終了後2か月以上経った後に、尿素呼気試験または便中抗原検査によってピロリ菌の有無を判定します。ピロリ菌が陰性の場合は除菌成功となりますが、10~20%程度は除菌が成功しないケースがあります。その場合は薬剤を変更して二次除菌を行います。