胃もたれ
胃もたれ
胃もたれとは、食事が消化されずに胃に残っているような膨満感、重苦しさなどの不快感の総称です。日常的によく感じる症状なので経験したことがある方も多いと思います。胃もたれの原因は様々であり、中には胃がんなどの重篤な疾患が隠れている場合もあるため、長期間症状が続く場合は注意が必要です。
脂っぽい食事の取りすぎは、胃腸の消化に負担をかけ胃もたれの原因になります。また、嗜好品(アルコールやタバコ、コーヒーなど)、塩分や香辛料の効いた食事(唐辛子や胡椒など)の取りすぎも胃粘膜の知覚過敏となり酸の分泌が強くなるため、胃もたれや胃の不快感を引き起こします。
日常的なストレスや不眠・過労で休息が十分とれていないと、自律神経のバランスが崩れて胃腸の動きが弱まり、早期満腹感や胃もたれ感を引き起こします。
年齢を重ねると、脂っぽい食事が若い時ほど摂れなくなる、少食になるなどの症状を感じる方が多くなります。これは加齢によって胃の蠕動運動が弱くなり、胃酸の分泌量が減るためです。
食道がん、胃がん、逆流性食道炎、機能性ディスペプシア、ヘリコバクター・ピロリ菌感染、胃・十二指腸潰瘍、胆のう疾患
一番気をつけなければいけないのが食道がんや胃がんです。胃もたれや嘔気などの症状がでてきてからでは進行してきている可能性もあります。胃もたれが慢性的に持続する場合まずは、胃カメラや腹部超音波検査で消化管や周囲の臓器に異常がないか確認しましょう。
そして一番多くの方が診断されるのが、「機能性ディスペプシア」です。胃カメラで何も所見がなく、他の原因疾患がないにもかかわらず、慢性的に胃もたれやみぞおちの痛みを訴える疾患を機能的ディスペプシアといいます。こちらは、胃酸や胃の運動機能低下、ストレス、ヘリコバクター・ピロリ菌感染など多くの要因が関連しているといわれています。
一時的な胃もたれでは、生活習慣の改善を行っていきます。
生活習慣の改善をしても効果が得られない場合は、消化器疾患が隠れている場合もあるので必ず胃カメラを行いましょう。胃がん、食道がんなどの重篤な疾患が見つかった場合は、早期治療に努めます。
その他、胃・十二指腸潰瘍、逆流性食道炎などがあった場合は胃酸分泌を抑制する薬や、胃粘膜保護薬などの薬物療法が必要になります。ヘリコバクター・ピロリ菌感染が証明されたときは薬による除菌療法も併せて行っていきます。
胃に所見がなく機能性ディスペプシアが疑われる場合は、胃の出口の部分の蠕動運動を促進させる薬物療法を行います。